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sora-report@New York 201006 
sora-report@NY-WSF総括編
すっかり更新が遅れてしまいましたがworld science festival 総括編です。

とにもかくにも得るもの多いscience festival@NYでした。


今回のNYリポートでは、トークセッションとダンスについてリポートしましたが、実は天文系も充実していました。


2014年に打ち上げが予定されているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のコーナー。


LIGOと呼ばれる重力波の検出器についてのコーナーで、重力波を「聞く」ことを体験できるコーナー。

これらは日中からずっとフリーで開催していたものです。

で・・総括といいつつ、スケジュールの都合上、全てを見ることができなかったのですが、今回のworld science festivalで非常に興味深かった点は、

1. ユーモアとデザイン
2. 掴むトーク
3. 経営方法。魅せる/払う、寄付にも積極的

でした。

1.ユーモアとデザイン

LIGOの会場の入り口にあった看板。

world science festivalでは、Board of Directors(役員会)が、
研究者や大学学長以外に、ゼネラルカウンシル、
役者/演出家、番組プロデューサーなど
マルチなスタッフ構成でディレクションされていました。

なので、看板、webや紙媒体の発行物(ポスター、パンフレット)、キャッチコピー、広告、市民が触れられるもの1つ1つに、ユーモアとデザインへの意識を感じました。


wsfのプログラム(A5サイズ)。
カラフルでリッチです(これらは会場で無料配布していました)。

まさに、もてなしの心意気とでもいいましょうか。
これに参加しているだけで楽しい気持ちになれます。


2. 掴むトーク&プレゼンテーション

エンターテイメントの国ということもあってか、
欧米のスピーカーは、トーク、プレゼンテーションがうまい人が非常に多い気がします。

今回は市民向けのイベントだからか、選出された演者たちは、実になめらかに話していました。

なめらか、というのはしゃべり方そのもの、というよりも、
会話の流れというか、観客の掴み方。

お客さんを巻き込むのも上手ですし、ユーモアに対する意識が高い。
ユーモアのセンスが(文化的に?)トレーニングされているような感じもしました。

そしてプレゼンテーションのスライドもとてもよく作られている。
専門的な話でついていけなくなりそうでも、スライドがしっかり構成されていて、視覚的にもデザインされているので非常に魅力的でした。
このあたりのセンスにもトレーニングを感じました。


3. 経営方法。魅せる/払う、寄付にも積極的



写真は今回のworld science festivalパンフレットのスポンサーページ。

なんだかんだいっても、予算がなければ、いいものはできないので、
これは非常に重大な問題です。

world science festivalの資金源の詳細はリサーチできなかったのですが、
クリアなのはスポンサーとドネーション(寄付)とチケット収入があること。

基本的にトークイベントは有料で30$。でもほとんど完売。
初日のオープニング・ガラ・コンサートにいたっては、入場料が500$!

それでも演出や内容が魅せるものとして創られているから観衆も納得、という印象です。(少なくとも私たちの参加したセッションは拍手喝采でしたし、私たち自身も非常に満足できました☆)

日本の科学系のイベントでは、チケット代をとるイベントは殆どないのではないでしょうか。
その一方で「チケット代を集められたら、もっといいイベントになるのに」と頭を抱えている科学イベントが殆どのような気がします。

行政や文化的な違いもあると思うので簡単には参考にはできませんが、
いい企画にはお金が必要なことはゆるぎない事実なので、
日本でも、科学イベントにおいていい運営モデルが生まれるといいな、と思います。


ところで・・いいところが沢山のworld science festivalでしたが、
ちょっと残念なことも・・・。


演出やプログラム構成、バランスはとても素晴らしかったのですが、
運営(システム)そのものに若干の問題(特に、入場者の受付体制)もあったような印象です。

ここから先はネガティブなのに、文字だけで長いので、
なんとなく引用風にお送りいたします・・。


-- ワールドサイエンスフェスのチケット予約システム --

ワールドサイエンスフェスではネットでチケットが購入できる便利な予約システムが導入されている。

「バーコードをプリントアウトして会場Will call (チケット受付コーナー)へ」
というシステムで、現地会場につくや、早速Will callを探してみた。

ところが、案内看板もなくWill callがどこにあるかかわからない。

会場には赤いTシャツを着たスタッフがいるので、早速聞いてみた。

「これ(eチケット)を持っているのですが、Will call はどこですか?」

赤いTシャツのお姉さんは、とても陽気で、

「OK〜。そのまま会場にGOよ〜!4階よ〜♪」

的な調子で私を会場へ誘う・・。

まあバーコードついてるから、入り口で「ピッ」かなあ・・
などと思っていたが、いざ、入場が始まると「もぎり」のお姉さんがもぎっている。

あれ?バーコードリーダーは?

と思うもつかの間、お姉さんが私のチケットを見て、

「あら〜ごめんなさ〜い。このeチケットはWill callで"チケット"に引き換えて下さい。そのあと、もう一度ここに戻ってきてくださぁ〜い♪」

えーーーーーー!
てか、"チケット"ってなに?
てか、Will Callって、だから、どこなん?

ふと隣を見ると同じeチケットを持った学生風男子がフリーズしている。

そして、私の後ろの方からは、
「このチケットじゃは入れないっぽいわよー!ブーブー」
と、こちらを覗きながらイライラしているeチケットホルダーが続々。

で、会場はeチケット事故に巻き込まれたお客さんであふれて、
みんなドヤドヤとWill call なる場所に行く訳です。

「will callは2階です!」

焦ったスタッフがアナウンスする。

Will callは2階にひっそりとありました。
そして、そこにはさらなる行列がありました。

なのになぜか当日券も同時発売中。

我々がwill callに向かう道中、逆のエスカレータには、当日券をゲットした人たちが4階へあがって行く。

「ヘイ!ちょっと、これはどういうことなのだ!予約している人間が優先だろ」

誰かが猛烈に抗議してくれたらしく、Will call のお姉さんがeチケットを持っている人を呼びはじめた。引き換えを優先しているようだ。

ところが、その引き換え方というのは・・・
eチケットを見せてただ交換するだけ。

「このバーコードは全く意味を成さないじゃないかー!!」

「この作業を4階でやればいいじゃないかー!!」

など、ガヤガヤなりながら、eチケットのお客さんたちが会場にダッシュ。

この引き換えで手間取った我々が会場に戻った頃には、
当日券などで入場した人で3/2くらいが埋まっていて、
せっかく予約したのに後方座席になってしまったりしたのでした。

ワールドサイエンスフェスでは、こんなミスに加え、
当日券を売りすぎて予約客が入れなくなったこともあったようです(会場のお客さん談)。

なんだかドタバタの入場捌きだったようですが、
ハイテクシステムの導入が(たぶん)世界一得意な日本から来た私としては・・やはりバーコードが活かしきれなかったことが、非常に悔やまれました。



なにはともあれ、本当に刺激的なworld science festivalでした。

本当は、ファミリー向けのオープンイベントも週末(土日)にあったのですが、今回は残念ながらスケジュール上、参加できませんでした。


来年はフル参加でリポートしたいと思っています。

以上、world science festival総括編でした。